みやけばなし

高円寺でギター弾いてるやつの日記

白飯戦線異状なし(2017年2月17日)

 カレーライスを食べる前に全部混ぜるのは行儀が悪いといわれている。

 私は混ぜない。最初に全部混ぜてしまうと、自分にとってカレーがご飯の比率に対して少なかったときに困るからだ。味の薄いカレーメシを最初から最後まで食べ続けることになるのはいやだ。

 カレーのご飯を消費させる力がどれくらいかは、食べてみないとわからない。ご飯とカレーをちょうどいい比率になるようにスプーンに乗せて食べる、ということを繰り返していると、「このままだと偏りが生じるな」と気づく瞬間がやってくる。カレーが余る分にはあまり問題にならないが、ご飯だけ余るのはつらい。その時に福神漬けやピクルスといった付け合わせが役に立ってくる。

 そもそもカレーだけでなくご飯と一緒に食べるものにはすべからく『ご飯破壊力』という指標があり、その数値が高いほど口に入れたときご飯をたくさん食べたくなる。塩分濃度が高く、ご飯と合うものほどこの数値は高くなる。明太子や梅干しはかなり高いと思う。

 ご飯を食べるときはおかずでご飯を爆破しながら食べ進めることになる。卵焼きはあまりたくさん爆破できない。辛口の塩鮭はかなりご飯を巻き込んで爆発する。茶碗の中では常に空爆が行われている。

 カレーライスに話を戻そう。カレーライスはテーブルに置かれた時点で『戦線』がはっきりしているという不思議な食べ物だ。カレーのほうが多そうだからといってカレー軍が勝つとは限らない。カレーがあっさり味だったら、ご飯軍が勝ってしまう可能性もある。

 カレーが皿に置かれた時点で全部混ぜてしまうと、万が一カレー軍の戦力が足りなかった場合にまるで補正が効かなくなってしまう。補給物資をどこに投下すればいいかわからなくなる。戦力差で不利な状況で考えなしに全軍を突撃させるのは愚策であり、よってカレー軍に肩入れする人間(食べている人)としては、物資を補給しながら地道に戦闘し、両軍が全滅するまで根気よく戦わせ続ける必要がある。

 まあ家で食べるときはカレーを追加すればいいんだけど。

f:id:michemiyache:20170217215437p:plain