みやけばなし

エッセイブログです

セルフ・サンタさん(2020年11月29日)

「未来の自分とワリカンしよう」という借金の広告で、思い出したことがある。

 小学校の頃の自分は、ろくでもないことを思いついた。

「明日の自分にいじわるをしたら、明日の自分は過去の自分にいじわるされてどんな気持ちになるだろう?」

 私は、塾で使っていたスタンプを押すシートの左右両端に糊を塗って、縦半分に真ん中で折って両端を貼り付け、開けなくした。そうしている最中は、初めてのことをやっているドキドキしかなかった。

 次の日、塾に来てスタンプシートを開こうとしたら、開けない。私は昨日、自分がシートの両端に糊を塗って貼り付けたことを思い出した。結果、普通に人から意地悪された場合の半分くらいの嫌な気持ちを観測した。

 未来の自分とワリカンするというのは、要するにこれと同じである。今日の一時の楽しみのために、明日の自分を傷つけて不必要な痛みを引きずるようなことはすべきではない。そうは言っても実際には難しいのだが、本当は逆の行動をすべきなのだ。

「今日の自分には余裕がある」という夜、明日の準備を万全にして、朝ごはんまで用意しておくと、次の日の朝ものすごく良い気持ちになる。サンタさんからのプレゼントが枕元に置いてあるのを見つけたとき…ほどではないにしても、同じ種類の悦びが得られる。これは、寝ている間に夢を見て、昨日の夜自分がやっていたことを一時的に忘れてしまうからだ。

 朝起きるともちろん思い出すのだが、「昨日の自分が今日の自分に優しくしてくれている」という感覚に勝手になる。「自分で自分に貢ぐ」というバグ技の一種だと思う。ポケモン金銀ポケモンに道具を持たせてボックスに預けて「ポケモンレポートにかきこんでいますでんげんをきらな」で電源を切るとポケモンと道具が分裂するバグを彷彿とさせる。

 大人になると面倒を見てくれる人がいないので、自分の機嫌は基本、自分でとらなければいけない。しかし、自分だけで賄おうにも元手が足りない、というときには、溜めてある道具を使うか、バグ技に頼るのもアリだと思う。今年のクリスマスは自分へのクリスマスプレゼントを自分で買って、枕元において寝てみようかな。まぁ普通に人にやってもらった方が効果はあるんだろうけど…