みやけばなし

高円寺でギター弾いてるやつの日記

蝉だらけ社会(2020年12月27日)

 今年一年はあっという間だった。このブログも今回で終わりだ。

 コロナウイルスは一年のうちに世の中の行動規範を変えてしまい、大勢で集まって騒ぐということが行われなくなった。既に恋人や家族として固まっていた人同士は良いとして、友達以上恋人未満のようなこれから進展するかもしれない微妙な関係は結構な割合で破綻したのではないかと思われる。「その程度で破綻するようなら運命の相手ではない」というのは詭弁で、コロナウイルスは公私問わず、起こりえたかもしれない数々のセレンディピティ(偶発的な出会いによる価値)を破壊しまくった。人脈のうち、育ちきっていないものは枯れ、太く育っていたものだけに間引きされたような形になった。

 私はコロナ以前から、場を無理矢理かき回して「みんなは一つになりました」と見せかけの連帯を強要するようなイベントがあまり好きではない。なので、コロナが「人と人はそんなに馴れ合わなくたって生きていけいける」ということを明るみに出してくれてむしろ良かったと思っている。しかし、人と深い関係を築きたいのに浅い絆しか持てていなくて頑張っていた最中の人には、とてもつらかったのではないかとも思う。

 誰かに近づきたくても、コロナのせいで集団で集まることができない。距離を保ったまま大きな声で喚いて、自分に合う人を寄ってこさせるしかない。個人間のつながりや口コミが珍重されるようになり、クラスタの存在は俯瞰して把握することが難しくなってきた。カイジの鉄骨渡りとか蝉だらけの林とかTwitterのTLのような、そういう社会になっていくのではないか。

 ワクチンが完成して普及しても、おそらく世の中はコロナ前と同じようには戻らないだろう。来年は今既にある人間関係を大切にしながら、適度に生存報告もしつつ、この閉塞感を少しでも打ち破れるような新しいことに挑戦していきたい。