みやけばなし

高円寺でギター弾いてるやつの日記

2022年8月1日北海道ツーリング留書(一日目)新千歳→釧路



 「今年の夏は北海道にツーリングに行きませんか」という唐突な提案に友人のF氏が快諾してくれたため、4泊5日(成田での待機含めると5泊6日)かけて北海道にバイクツーリングに行ってきた。北海道に行きたいと思った理由としては、個人的に仕事を退職したばかりで2か月間の有休期間があったのと、春に緑内障と診断されたことで「行けるうちに行っておきたいな」と思ったことが大きい。

 

 



 元々北海道に住んでいた経歴があるF氏とともに宿や回る場所を決め、持ち物の準備もした。新千歳空港まで私は自前のバイクを輸送してもらい、F氏はレンタルバイクを借りて、釧路・中標津・知床・帯広などをまわって新千歳まで帰ってくるのだ。

 

 

 出発の日は朝四時に起きて荷物の最終確認をしてバナナを1本食べ、駅へ向かった。朝四時にも関わらず飲み屋で騒いでいる人や弾き語りをしている人がいる。駅のホームで缶コーヒーを飲んだ。晴れるのを願って、青い缶のを択んだ。

 中央線は朝五時前でも人が結構いて、1人分の席だと荷物が隣に邪魔になりそうで座れなかった。電車を重々確かめながら、日暮里からスカイライナーに乗り継ぐ。守備良く乗れた。周りは大きなケースの旅行鞄の人ばかりだ。

 飛行機に乗るのも初めてだったので、成田空港に着いてから行く先がわからなくて困らないか不安だったが、降りてすぐピーチ航空の乗り場へ誘導する案内がありわかりやすかった。ターミナルさえ間違えなければそんなに難しくない。

 F氏と合流して搭乗券を発行、すぐに乗り場へ向かう。金属探知機のゲートは、金属を含むものを外して通る。ベルトとブーツを脱いで、荷物もカゴに入れるのでカゴを4つくらい使った。ズボンの金具くらいなら大丈夫なようだ。

 乗り場で待ちながら新千歳以降の予定について少し話しながら待った。発の30分前に搭乗券をなくしたことがわかり、すぐに再発行してもらった。早めに気づいて本当によかった。

 飛行機までバスで移動後、ついに飛行機へ乗り込む。


 乗り込む時はアトラクションのようで少し興奮したが、乗ってみると中は新幹線や特急と大差ない。機内は革張りの椅子がある美容室のような匂いがした。移動が始まってから15分くらいは滑走路まで地面をうろうろしていたが、その後離陸のアナウンスがあり、地面に押し付けるような圧力と軽い浮遊感が交互にあった。これが1時間半続くのかと心配になったが、高度が上がってからは安定していて、浮遊感は驚くほど感じなくなった。

(何かの拍子で押し間違えて撮ったっぽい写真)


 通路側の席だったので窓を覗き込むというわけにはいかなかったが、F氏と通路を挟んですぐ近くになれたし、左右の両方の窓に目をやることができた。

 機内食スマホで注文するか、回ってきたとき買うようだった。カップラーメンやビールやスナックなどの他、沖縄のおじやのようなのもあったが、そんなに目ぼしいものがなかったので新千歳まで我慢することにした。最初こそ地面と小さな家々が遠く見えていたが、いつの間にかクリームソーダのような空と雲しか見えなくなった。

 

 着陸が近くなるとまた離陸の時と同じように地面への圧→浮遊感の波が多少来たが、その頃にはもう慣れていた。F氏が酔い止めを持ってきてくれていたが、結局初めての飛行機では全く酔わなかった。飛行機を降りると、先日初めて一次面接を受けた企業からお祈りメールが届いていたので速攻で祈り返した。

 新千歳空港は思った以上に広く、池袋西武のイベント会場で不定期にやっている北海道フェアの最大公約数のようなフロアがどこまでも広がっていた。白樺山荘で全部乗せの味噌ラーメンを、ハスカップという店でソフトクリームを食べた後停車場の30番へ。送迎の車でレンタルバイク置き場まで連れて行ってもらった。

 

 この時点で既に雨が降り始めており、帰ってきたおっちゃんが「いい天気だったよ。最終日だけ残念だったね」と言っていたのが恨めしかった。しかし言っていても仕方ないので、無理矢理出発した。

 

 最初こそ雨の中80キロで走るのは怖くて仕方がなかったが、慣れるとだんだん恐怖は麻痺していった。トンネルも怖かったが、トンネルの中の方が暖かいため、ずっとトンネルならいいのにと思い始めるくらいだった。トンネルに入ると暖かく、出ると冷凍庫の扉を開けたような冷気と雨粒が吹き付けてきた。

(左が三宅のGoose350、右がF氏のエストレヤW250)


 北海道の夏は、晴れていても日差しが痛くなくて涼しくて良い感じなのだが、雨が降り始めると途端に気温が15度前後になり、しかも風と霧が冷たいのでどんどん体温が奪われ、結果バイクで走っていると冷蔵庫の中にいるみたいになってしまう。来る前は「関東よりは涼しいだろうけど意外と暑いかもな」くらいに考えていたが、Tシャツに皮ジャンと薄いカッパだけでは、完全に装備不足だった。

 

 途中ガソリンを入れたりサービスエリアで休憩したりしながら走った。途中、占冠村を越えて少し進んだあたりか、霧で30m先も見えないようなエリアがあったが、「やることは同じだ。スピードを出し過ぎず、左右のラインの中央を走る」とだけ意識し直して走り続けた。これが本当の五里霧中だなと思った。

 

 宿近辺まで辿り着き、セイコーマートに寄ったりフキやツルを見たりした後、宿にチェックインした。その後、宿が暑いのか熱があるのか、身体中が熱いことに気がついた。宿の温泉に入ってみたが、出てしばらくしても治らず、顔も赤いままだ。F氏にも「日焼けした?顔赤くない?」と言われてしまった。夕食はとらず、大事をとって21時には就寝した。明日には治っているといいのだが。

 

(二日目へ続く)