みやけばなし

高円寺でギター弾いてるやつの日記

死んでいるギター探し(2023年6月4日)

 エレキギターが弾きたい。大学のとき部活で少し弾いた後すぐに売ってしまったのだが、deadmanというバンドの昔のライブ動画を見ていたら無償に弾きたくなった。具体的には下記の動画の様な音が出したい。↓

 

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 ギターの音の良し悪しには不見識だが、温かみがあるのに良い意味で音が「死んでいる」というか、飽和して摺りガラスのように曇ったグランジさ(ジュージューした感じ)が心地良くてずっと聴いていられる。ギターが1本しかなくてあまり音抜けを考慮しなくて済むからこそ成せる業なのかもしれない。

 

 調べたところどうやらESPというヴィジュアル系バンド御用達のカスタムギターで、外見はジャズマスターっぽいが分類上はジャガーになるらしい。ピックアップ(本体中央で弦の音を拾う部品)はカバー付きの2ハムバッカーということが見て取れる。市場には出回っていないようなので、全く同じものが欲しいと思ったらオーダーするしかないということになるが、おそらく数十万円かかってしまうだろう。

 

 そこでいろいろな試奏動画を見て「死んでいる」音が出せそうなギターを買おうと思ったのだが、似たスペックのギターの演奏を聴いても「全然似てない」「キンキンして耳が痛い」と感じてしまったり、ジャガーとジャズマスの音を比較する動画(↓下記)で音の違いがわからなかったりして絶望した。特に海外の動画はベンチャーズニルヴァーナばかりでV系っぽいフレーズを全然弾いてくれない(当たり前)ので、それも相まって判断が難行した。


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 六日間悩んだ結果、手が届く価格で見た目も気に入ったSquireのジャズマスと一緒に似た音を目指すことにした。そもそもあの音が何由来(ギター、セッティング、パーツ、エフェクター、アンプ、シールド、音響etc)であの音になっているのかわからないし、一人で趣味で弾くだけなので、あまり高いギターだとそのギターのポテンシャルを引き出しきれなくて申し訳ないような気がしてしまう。良いギターなら価値がわかる人にこまめにリペアされて、エフェクターとかもこだわってもらって、バンドと一緒にガンガン活躍したほうが幸せなんじゃないかと思うのだ。

 

 東京は住宅事情が厳しく人が密集して住んでいるので、賃貸だと少し大きい音を出すだけで苦情が来る。ギターを弾きたい人の数はたくさんいても毎日弾ける環境にある人は少なく、そのためか買ってからほとんど弾かれていないギターがフリマサイトに溢れていたりする。誰にも弾かれないままネックばかりが反っていくくらいなら、少しでも弾く私が一本くらい持っていても良いだろう。

 

 ギターが欲しいと思うとき、機種、メーカー、ネックの材質、ピックアップ、ブリッジなどどんなものが良いかを考えて、それになるべく合うものを予算が許す範囲で探すことになる。ギターを買うとは、市場にあるパーツの海から自分の欲しいパーツを引き寄せて組み立て「これは自分のギターだ」と宣言し、自分を延長する行為だ。安いギターだからといって粗末に扱って良いというものではない。大事にしようと思う。