みやけばなし

高円寺でギター弾いてるやつの日記

向かいのおばさん(2023年3月19日)

(下記の話は私が昔ネットのどこかで拾い読みして「確かこんな話だった」というのを思い出しながら書いた小話です。元ネタが載っているサイトをご存知の方がいましたら教えてください。)

 

 俺の家の向かいには、お節介なおばさんが住んでいる。


 いつだったか、俺が朝シャンをしているときにスマホのアラームが鳴ってしまい、早朝に長々と騒音を垂れ流してしまったのがきっかけだったと思う。
 誰かが外からトントンと雨戸を叩いてきた。その時はすぐにアラームを切ってことなきを得たが、物音に神経質になってしまったのか、俺が起きて少し物音を立てただけで雨戸を叩きに来るようになった。

 それだけならまだ良かったのだが、どうやら俺の起床時間はおろか就寝時間まで把握してしまったらしい。近い時間帯になるとわざわざ叩いて知らせに来るまでにエスカレートしてしまった。俺は朝も夜もいつ雨戸を叩かれるか不安で眠れなくなり、睡眠薬をもらいがてら愚痴を吐くために心療内科を受診した。

 

 今はもらった薬を飲みながら、仕事を休んで毎日家でゴロゴロしている。あれからすこししてわかったことだが、俺の家の屋根は水捌けが悪く、夜間に発生した霧や朝露が結露して雨戸の辺りに落ちてくることが度々あった。

 そもそも向かいの家は空き家で、誰も住んでいなかった。ポストにチラシが溜まっていて、洗濯物を干している様子もない。どうして気づかなかったのだろう。

 

 雨垂れは、今も俺の家の雨戸を叩いている。