みやけばなし

日々の記録とフラッシュフィクション

人間Aの回答(2023年7月9日)

 中学生のときの同級生や後輩に声をかけられることが多い。
 マスクをしている私に「三宅先輩ですよね!」と確信を持って話しかけられると、自分はそんなに中学から代わり映えがないのだろうか?と逆にショックを受ける。言われてみれば中学の時から変わったのは身長くらいで、髪型も体型もそんなに変化がない。もっと髪とか染めた方がいいのだろうか。

 気の利いた話題も思いつかないし、正直そっとしておいてほしいと思う。特に子供がいたりすると、何とコメントしたらいいのかわからなくて本当に困る。子供がいる人は生活のほとんどが子供のことで埋め尽くされている人が多いので、おそらく子供のことを話題にした方が良いのだろうとは思うのだが、自分に子供がいないので本当に何を言ったらいいのかわからない。うかつに変なことを言うと失礼になりそうだし、毎回「何歳?」と聞いた後の二の句を継げないので、変な空気になってしまう。

 何歳か尋ねた後に、年齢や季節に応じて次に言う言葉を決めておけばいいのではないか。「じゃあもうすぐ小学校?」とか「今夏休み?」とか、それぞれの返答パターンに合わせて用意しておけば、少なくとも2往復くらいはラリーを続けることができる。
年齢に応じた男女の平均身長も頭に入れておけば、「(身長)大きいね」というコメントも可能かもしれない。いや、今の世情的に子供の身長にコメントすることは良くないことなのだろうか?

 こういう「こんなときどう返答しよう」みたいな想定質問を考えていると、自分よりChatGPTの方がよっぽど人間っぽいよなと思う。ChatGPTは細かい知識を求めると結構間違ったことを言いがちなのだが、ビジネスメールや時候の挨拶などを書かせるとものすごく上手い。人間がコミュニケーションだと思っているものは実際にはただの曖昧な反応のラリーでしかないので、「こう質問された人は次にこう答える場合が多い」という答えを出力すれば何となく真人間っぽい返答になるのだろう。世の中で生きていると、「これ自分じゃなくていいじゃん」「まともな人間Aが求められてるだけじゃん」と感じるシーンが結構ある。失礼のないコミュニケーションができればいいシーンを全部ChatGPTが代わってくれればいいのにと思う。