みやけばなし

日々の記録とフラッシュフィクション

2021-01-24から1日間の記事一覧

本当に私以外私じゃないのか(2017年5月19日)

例えばものすごく髪が綺麗で有名な女優がいて、その人には専属の特別な髪のケアをする美容師がいたとする。その美容師が突然事故で亡くなったら、その女優は前と同じ髪ではいられなくなるだろう。人気も落ちるかもしれない。その女優は、髪という、人として…

一人飯のタスク(2017年5月12日)

高校の時、教室でみかんを食べていても何も言われないのに、家から持ってきたグレープフルーツをむいて一人で食べていたら笑われた。グレープフルーツはなんかダメらしい。大きすぎて笑っちゃうのかもしれない。 でもアメリカの学生なんかリンゴをズボンで拭…

ビタミンブック(2017年5月5日)

図書館での仕事中、本棚や新刊案内で気になった本は書名と分類番号をメモ帳にメモしておく。 書名や著者名や内容紹介で面白そうだと思う本が1000冊に1冊。手に取ってはザッピング(本の小口に親指を当ててページをめくり、5秒くらいで内容を確認する。…

ときにはしぇふのように(2017年4月28日)

料理が上手いというのは、一般的には普通の食材で普通の料理を作るのが上手いということをさす。オムライスだったら、最低限のラインで言えば卵が焦げたり泡立ったりしていないとか、中身の玉ねぎが生だったりしないとか、味付けがしょっぱすぎないとか、そ…

声の言いまつがい(2017年4月21日)

風邪をひいて喉を痛めてしまい、声がうまく出なくなったという経験は、多くの人が一度は経験したことがあると思う。今の私がそれである。かすれて声が出にくい。 小学生のとき、ディズニーランドが大好きな子が休日にディズニーランドで騒ぎすぎたせいで声が…

鉄と金とSUKIYAKI(2017年4月14日)

すき焼き鍋というものがある。鉄でできて、半円の細いつる状の取っ手があって、木のふたを乗せる。 すき焼き鍋を買うのは、すき焼きを定期的にやる人なのだろう。 すき焼きを定期的にやる人とは、ひと月に一回くらいはすき焼きを食べるほどすき焼き好きで、…

仮説のふりかけ(インストゥルメンタル)(2017年4月7日)

バイクも自動車も、自転車と同じような仕組みでブレーキパッドの摩擦でブレーキをかけていると知った時、とても驚いた。あんなものすごいスピードで動いているものがそんなことで止まることを期待されていると思わなかった。何か、私の知らないものすごい機…

パラレルモノトップ(2017年3月31日)

モノを好きになるハードルが高い。 ハードルが高いといってもハイカルチャーや値段が高いものほど好きなわけでもないのがやっかいだ。好きなアーティストとして名前を挙げるくらい好きだったら、そのアーティストの曲はだいたい全部好きなものだと思うだろう…

果物まつり(2017年3月24日)

果物はすごい。果物がたくさんなっている環境に生まれたら、「神は人間のために食べ物を用意してくれたのだ」と思い込んでも仕方ないと思う。実際フルータリアンという果物しか食べない主義の人がいるらしい(健康には良くないらしい)。 小さい頃から果物や木…

ストロベリーフィールズ・フォーエバー(2017年3月17日)

クラスで孤立ぎみの坂野は、生活の授業の一環で育てているイチゴの世話に情熱を燃やしていた。 しかし坂野が数学の補修を受けている間に、誰かが『イチゴを収穫しよう』と言い始め、イチゴはクラスのみんなに勝手に食べられてしまった。 担任は坂野がほとん…

わたしはしわたし(2017年3月10日)

橋を渡るとテンションが上がるのはなぜなのか。上がらないという人には意味が分からないかもしれないが、「あ!今どこでもない場所に自分はいるぞ。地面に足がついていない、どの住所でもない『空中』のような場所にいるぞ」という気分になる。年が明ける瞬…